2020 No.36「糸」

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2020 No.36「糸」
4点!/10点(斬新さ2点/5点+娯楽性2点/5点)

2020年 日 配給:東宝

大ヒットした中島みゆきの「糸」をモチーフに、縦の糸、横の糸が絡むように周囲の人達やその時々の環境・事情に翻弄されながらも、しっかり歩を進めた平成元年生まれの男女それぞれの人生を、菅田将暉、小松菜奈を主演に迎え、瀬々敬久監督が映画化。また、斎藤工、榮倉奈々、山本美月、倍賞美津子、成田凌、二階堂ふみ、高杉真宙、永島敏行、田中美佐子ら、人気俳優、実力派俳優ら豪華共演陣。昨年後半から上映前の予告編宣伝等で、名曲「糸」が流れる中、今をときめく菅田将暉の「あおいちゃあ~~~~ん」の絶叫シーンによって、感動を想像させる大きな期待感に包まれてしまったものの、コロナ禍で公開が遅れてお預け状態が続き、ようやく鑑賞にありつけた次第。さて本作品、私の感想として総括すると、全体的には良作で、主演二人は勿論、子供時代を演ずる子役も期待通りの好演であったものの、然程の感動を覚えなかった。主人公らは、思い通りにならない青春時代を過ごしていたにも関わらず、片や地元で家庭をもちチーズ職人を目指したり、片やビジネスでキャリアを積んでいったりと、前向きに歩を進める姿が爽やかであったり、二人の想いが局面局面ですれ違ってしまうやるせなさもあったりと楽しませてくれたのであるが、観ている最中にもところどころ気になったことを含め、次の点で大きな感動には至らなかったと思う。まず尺の短さの点。例えば“前篇”“後篇”と二部作にしてもいいと思う題材であるも、2時間に収めた本作品は例えるなら、全10話のテレビドラマ作品を、たった2時間の総集編にまとめたとして、10話全体を観る前に、その2時間作品を初めて見たようなものであった。つまりとても様々な出来事が盛り込まれているのに、間や余韻が極端に少なく、次から次へと展開するので、じっくり感動する暇もない。次に、演出として「?」と感じる部分が複数個所あった点。その内三つを紹介すると、函館~美瑛の距離感に無理を感じたこと(実際は距離450キロ超で車で5時間以上かかるのに、いとも簡単に移動していた演出)、一時期同棲する実業家水島が、葵のそばから去る際に置いていった現金が部屋中に巻き散らかされていることに違和感があったこと(チープな印象になる演出)、そして重要な脇役を演じた山本美月の演技に難がありチープ感が否めなかったことである。(個人的に好きなモデル?タレント?であるも、彼女がこれまで出演した作品を含め、“女優”を名乗るレベルではない)およそ2時間という尺の映画作品は、私のように集中して穴が開くほどに観る客も多いので、ディテールには細心の注意で拘って欲しいと思うのが持論。中島みゆき自身が歌う「糸」を使うタイミング、ラストシーンのフェリー乗り場でのカメラワーク(主演二人の交錯の仕方)など、違う監督や演出家が手掛けたならば、感動の起こし方もまた違っていただろうと思わざるを得なかった。既に多くの方が鑑賞しているようであり、「感動した」とのレビューを多くみるが、これから観る方は是非、期待のハードルを上げすぎないように、、、

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