2020 No.12「リチャード・ジュエル」

2020 No.12「リチャード・ジュエル」
6点!/10点(斬新さ3点/5点+娯楽性3点/5点)

2019年 米 Richard Jewell

1996年のアトランタ五輪開催中に起きた爆破テロ事件に係る爆弾の第一発見者になった警備員リチャード・ジュエルについての実話を題材に、巨匠クリント・イーストウッド監督が映画化。不審物(これが実際に爆弾であった)を発見後、警備員として当然の手続きをとったおかげで、多くの人命を救い、英雄扱いされたジュエルだったが、犯人捜査を進めるFBIが彼を第一容疑者とする。それを現地マスコミがリークしたことから世間の彼を見る目が3日後には一変し、そこから無実を訴える戦いの展開。主人公リチャード・ジュエルをポール・ウォルター・ハウザーが演じ、ジュエルが藁にもすがる思いで頼る旧知の弁護士ブライアントをサム・ロックウェルが、息子の無実を信じ胸を痛めるジュエルの母ボビをキャシー・ベイツがそれぞれ好演。イーストウッド作品の真骨頂である重厚な人間ドラマであり、ジュエルが人間としての誇り、職を全うすることへの誇りをかけてFBIとの捜査面談に対峙するクライマックスは、記憶に残るようなシーンであった。勇気を振り絞って臨んだ記者会見での、ジュエルの母の心震える演説も、キャシー・ベイツが見事に演じており、全篇通して味わいのある演技の弁護士役サム・ロックウェルとともに、作品に温かみ・人間味を加えていた。警察(本作ではFBI)・メディア・世間が冤罪を生んでしまう可能性の高い現代の問題へ、一石を投じるテーマも含んでおり、イーストウッド監督の時世や問題を捉えるセンスは相変わらず凄いことを認識させられるオススメの作品。