2016 No.100 「怒り」

Pocket

2016 No.100 「怒り」
5点!/10点(斬新さ3点/5点+娯楽性2点/5点+)+あおいちゃん5点!?
20150820-ikari02_v
2016年 日 東宝

「悪人」(2010年)と同様、吉田修一の原作を李相日監督が映画化。
主演の渡辺謙をはじめ、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮﨑あおい、広瀬すず、妻夫木聡、三浦貴大、佐久本宝、高畑充希、原日出子、池脇千鶴、ピエール瀧といった超豪華俳優陣が、「信じる」とは「愛する」とはどういうことかを考えさせ、心の葛藤を抉り出すドラマを展開。
「沖縄編」では、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生の泉(広瀬すず)が無人島で田中と名乗るバックパッカーの男(森山未來)と友達になり、「千葉編」では漁業を営む洋平(渡辺謙)のもとに素性の分からない田代と名乗る男(松山ケンイチ)がバイトで転がり込み、新宿歌舞伎町の風俗店から洋平に連れ戻された娘(宮﨑あおい)と恋仲に落ち、「東京編」ではゲイの大手企業サラリーマン優馬(妻夫木聡)が、ゲイの集うサウナで知り合った素性の分からない直人と名乗る男(綾野剛)と意気投合し同棲を始める。
こういった3つのドラマが並行して展開するのだが、全く交差しない演出。
それぞれのドラマで素性の分からない男が、東京八王子で起きた夫婦殺人事件の犯人の疑いをかけられ、観る側も目を離せないような展開であった。
またどのドラマも「親子の関係」を絡めており、更に「沖縄編」では沖縄基地問題(米兵による性暴行事件)、「千葉編」では知的障害をもつ娘、「東京編」ではゲイの二人と題材も豊富で内容的に盛り沢山である為、142分という長尺も苦にならない。
ラスト部分で3つのドラマとも、素性の分からない点が明らかにされ、結局殺人犯はサイコパスであるも、心が救われないまたは大きく傷つく登場人物だらけであり、非常に重い。
観賞中ややむせび泣きも聞こえたが、見終わった後も誰も言葉が出ないのか、館内は水を打ったかのような静けさであった。
こと「怒り」という題名に込められた主題について皆思いを馳せるはずだが、私は正直分かりにくかった。
「愛すること」や「信じること」の根拠がいかに脆いものであるかを残酷に突きつけられるものであったが、一流俳優陣の演技は見事。
心の葛藤を演じた渡辺謙、知的障害をもちながらも一生懸命信じようとする役の宮﨑あおい、ゲイを熱演した妻夫木聡と綾野剛は特に印象深かった。
殺人現場のシーン、性暴行のシーンなどR12の制限でいいのかと思うほど残酷かつエグく、監督ならではの演出に否定的な意見も出ると思うが、「悪人」(2010年)と同様、今後も強く記憶に残るような作品であった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA