2016 No.28 「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

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2016 No.28 「マネー・ショート 華麗なる大逆転」
4点!/10点(斬新さ2点/5点+娯楽性2点/5点)

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2015年 米  The Big Short

第88回アカデミー賞で主要部門を含む合計5部門にノミネートされ脚色賞を受賞した、アダム・マッケイ監督によるこの作品は、2008年の「リーマン・ショック」が記憶に新しい、住宅ローンの破綻に端を発するマーケット危機に至る経緯に焦点をあてた内容で、実話に基づいたもの。
クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピットという豪華キャストの好演も見応えあり。
マーケット危機をいち早く予見し、それに備え大きな利益を得るべく逆張りの行動に出て、ウォール街を出し抜いた4人の男たちの物語は、予想的中の痛快話に終わらず、副題に付いた「華麗なる」は全くのウソ!副題を付けた方は、この作品を実際に観ていないに違いない!(笑)
米国マーケットの危機に賭けて利益を得る訳だが、その危機の本質は多数の一般国民の失業や破産を意味するもので、この作品は利益を得て勝利を手にしたかにみえる4人の側も、何かしらの心の蝕みが必然であり、その虚しさみたいなものを描いているところも良かった。勝利も決して「華麗」ではないのだ!
最後に、この作品、金融専門用語が連発され、作中で何度もその用語解説が入る丁寧さはあるのだが、金融業界に属さない方にとっては、雰囲気で理解し楽しめることはできても、具体的に理解して楽しむには少々難解であると思われる。
なので余計なお世話であるが、私なりにバクッとした解説を!
本作を楽しむには次の3つのことを理解していれば大体大丈夫!
一つ目は、住宅ローンとその住宅ローン債権の流動化商品。住宅ローンの中でも低所得者に金利を高くして貸していたサブプライム・ローンは、加えていい加減な審査も多く、近い将来返済不能で債権が焦げ付く可能性が高かったもの。そして金融機関がその様々で大多数の住宅ローン債権を束ねて流動化商品とし、投資家向けの投資商品にした。格付け機関もいい加減で、大手銀行の住宅ローンを根拠にした金融商品なら安全性は高いものとしてAAA格等、殆ど破綻確率が無いものと見做していた。
二つ目は、CDSという金融派生商品。クレジット・デフォルト・スワップの略で、有事に備える目的の「掛け捨て保険」のような役割をもった商品のこと。当然平時であれば、あまり見向きもされない商品なので、需要が低いと価格は低い。将来の有事の可能性が高まれば、この「保険」的な商品の需要は増し、価格は鰻登りになる。本作では、近い将来に住宅ローン債権が暴落することを予知し、実際に暴落した場合にCDSの売り手から資金を受け取る仕組みの(つまり損失補填してくれる仕組みの)CDSを、主人公4人が必死に買って備えていくのである。CDSの買い手は例えば、年間1億円等の保険料を売り手に払う契約であり、将来有事が無ければ掛け捨てになり、有事が起きれば1億円の数十倍から数百倍の資金が入るといったものである。すなわち、将来の有事に賭けた、博打的商品としても扱われる商品がCDSであり、有事が予想されるときに脚光を浴びるといった性格をもつ。
三つ目は、「空売り」。売買の仕組みはシンプルで、「安く買って」「高く売る」の繰り返しで、金融の世界は儲けようとするのである。「空売り」とは、将来きっと「価格が下がる」であろうと予想する時に、先に「今の時点で」、「将来の売り」を契約するのである。予想通りに価格が下がったら、その下がった価格で買い戻しを行い、結果、「安く買って」「高く売る」ことになり利益を得るのである。「空売り」もまた将来の変化(=有事)に賭けた契約である。
ここまで説明すれば、気が付かれた方も多いかと思うが、本作ではCDSの価格がきっと上がるであろう(きっと住宅ローン債権暴落=マーケット危機=銀行債権焦げ付きが起きるだろう)と予測し大量にCDSを購入することで、実質的に住宅ローン債権の「空売り」を仕掛けたことと同じことになり、将来そういう有事になった時に、CDSを欲しい人に多額で売り抜けて多額の資金をゲットしようとしているのである。
説明が長くなりましたが、ご静聴ありがとうございました(笑)

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