2016 No.15 「フランス組曲」

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2016 No.15 「フランス組曲」
6点!/10点(斬新さ3点/5点+娯楽性3点/5点)
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2014年 英・仏・白合作 Suite Francaise

ユダヤ人作家イレーヌ・ネミロフスキーによる小説「フランス組曲」は、1942年に彼女がアウシュビッツ収容所で生涯を終えてから、娘の手元に残された形見のトランクの中で、60年もの間、日の目をみなかったらしい。
未完ではあるも小説だと気付き、2004年に出版され世界中で大ベストセラーとなったこの作品を、ソウル・ディブ監督がミシェル・ウィリアムズ主演で映画化。
1940年、ドイツがフランスを占領下においた頃の、フランスの片田舎を舞台にした極上のヒューマンドラマ。
出征中の夫の帰りを待つ主人公リュシル(ミシェル・ウィリアムズ)とドイツ軍将校(マティアス・スーナールツ)の許されざる愛を軸にしているも、単なる恋愛ものにとどまらず、戦時下の理不尽かつ冷酷な時代背景の中での人間ドラマを濃密に描いていた。
主人公リュシルの義母すなわち姑であるアンジェリエ夫人は広大な農場を所有する領主であり、作品冒頭から屋敷内での嫁姑関係、領主と小作人との関係や、近所での女性関係など普通の人々の生き方を描き出していた。
そこへ占領軍としてドイツ軍が侵攻。相応の屋敷をもつところは、ドイツ軍将校を一定期間宿泊させなければならず、主人公の住む屋敷にも将校が、、、。
その将校が奏でるピアノ音楽で、徐々に心を通い合わせていく姿が展開されるのだが、周囲の様々な人間関係を絡めながら、禁断の男女の愛から、人間としての愛や慈悲、尊厳へと各登場人物の心情が昇華されていくところが、たいへん見応えのある作品であった。
戦時下ならではの冷酷かつ残酷な場面も織り込まれ、終始何かしらの緊張感と人間ドラマの妙味を楽しませてくれ、まったく中弛みのない秀作であった。
主人公ミシェル・ウィリアムズの女性的魅力とともに、姑アンジェリエ夫人を演じたクリスティン・スコット・トーマスの一流の好演も、作品に深みを与えていた。
ロマンスや人間の心情が溢れた内容で、美しい音楽や風景を背景に、一流の俳優の好演を楽しめる、映画通を存分に楽しませてくれる作品!
ただ、私も終演近い先日の日曜日にたまたま神戸で観れた状況で、関西では神戸市中央区の「シネ・リーブル神戸」のみの上映で11日まで、東京では有楽町の「TOHOシネマズシャンテ」のみの上映で10日まで、その他地域でも若干の映画館でしか上映されていないという事情であり、この作品の為に映画館に足を運ぶのは困難だと思う。DVD化するなど観賞できる機会が今後あれば、是非ご覧いただきたいオススメの作品!

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